■建築前に「地盤調査」が義務付けられています
住宅を建てる際には、その土地が家をしっかり支えられるかどうかを確認するため、「地盤調査」が義務付けられています。地盤に問題があった場合、住宅の不同沈下を防ぐために「地盤改良工事」を行う必要があります。地盤の状況によっては、100万円以上の費用がかかることもあり、建築計画に大きな影響を与える可能性があります。では、このような事態を回避する方法はあるのでしょうか?
①あらかじめ予算に組み込む
宮崎県内では、地盤が弱い地域が多いため、地盤調査の結果、2~3割の確率で何らかの地盤改良工事が必要になることがあります。したがって、地盤改良工事が発生する可能性を考慮し、最初から予算に余裕を持たせておくことが重要です。地盤に問題がなければ、その資金を住宅の設備や家具に使うことができるので、80~100万円を改良予算として見込んでおくと安心です。
②住宅会社に確認する
建築予定の住宅会社が依頼している地盤調査会社に、近隣の調査データがないか尋ねてみる方法もあります。地域ごとの地盤の特徴を把握し、改良工事が発生しやすいかどうかの目安を知ることができます。
③見極めのポイント
次のような状況が見られる場合、地盤が弱い可能性がありますので、予算にゆとりを持たせることをおすすめします。
・以前、畑や田んぼとして利用されていた土地である
・周囲の住宅の外壁や基礎にひび割れが見られる
・敷地内や隣の外柵ブロックが傾いている
■地盤改良が必要な土地=「悪い土地」ではありません
地盤改良が必要だからといって、その土地が「悪い」とは限りません。造成されたばかりの分譲地や、以前住宅が建っていた土地でも地盤改良が必要になることがあります。同じ地域でも、地盤の強さは場所によって異なることがあるのです。
地盤調査が義務化されたのは、阪神・淡路大震災後、平成12年の建築基準法改正がきっかけです。平成12年以前に建てられた住宅では、地盤調査が行われていないことが多く、地盤沈下による傾きが発生するリスクがあります。私もこれまでに、土地区画整理事業で造成された住宅団地で、築年数の浅い住宅が地盤沈下で傾いてしまった事例を見たことがあります。鋼管圧入工法で修正工事を行う場合、500万~600万円の費用がかかることもありますし、内装や外壁の修繕が必要な場合は、さらにコストが増える可能性があります。
地盤調査の義務化により、このような最悪のケースをほぼ回避できるようになりました。地盤調査や地盤改良は、住宅の不同沈下を防ぎ、将来の高額な修繕費用を最小限に抑えるための最善策です。
■地盤改良工事が不要だった場合は?
調査の結果、改良工事が不要と判断された場合でも、地盤改良施工業者から地盤保証が発行されるため、万が一、引き渡し後に地盤沈下が発生しても補修対応を受けることが可能です。
■まとめ
地盤調査と改良工事は、住宅の安全性を確保するために欠かせないプロセスです。予想外の費用が発生するリスクを軽減するためにも、事前に予算を計画的に組み込んでおくことが重要です。地盤の強さは地域によって異なり、土地によっては追加工事が必要になることもありますが、それは必ずしも悪い土地を意味するわけではありません。地盤調査を適切に行い、安全で安心できる住まいを手に入れましょう。